みなさんは、分からない単語に出会ったときに、どうしていますか?
なんとなくその場の雰囲気で理解しようとしたり、場合によっては読み飛ばしたかもしれません。重要そうな単語であれば、辞書で調べて覚えたものもあるでしょう。
今回はそのどちらの方法でもなく、「分からない単語に出会ったときに、意味を推測する方法」について解説します。
単純な推論の仕方の解説だけでなく、「なぜ推測する力が必要なのか」についても紹介しているので、ぜひこの記事を読んで、将来においても使える力を手に入れてください。
ただ問題を解けるようになる以上の意味があるから、是非参考にしてほしいな!
方法①:単語は要素に分解し、連想を広げる
例題:lawless
まず、分からない単語が出たときは、要素に分解してみることでヒントが得られることがあります。
例えば、次のような英単語を見たとしましょう。
lawless
このとき、落ち着いて、知っている単語に分解できないか考えます。
そうすると、law と less の 2つの単語に分解できることがわかりますね。law は法律、less は少ない/足りないなどを示す単語です。
つまり、lawless は「法律が少ない/足りない」状態を指しているわけです。
ここから思いつくことを考えましょう。「法律が少ない/足りない」状態から思いつくことを頭に浮かべるのです。
いわゆる連想ゲームのように思考をストレッチする時間ですね。
ここで「無法」や「非合法」などを連想することができれば、正解にたどりつく事ができます。(実際の意味は、「法律のない、無法の、非合法的な、不法な、無法な、理不尽な、手に負えない」等)
例題:devotee
類推力のレベルがもっと上がると、例えば次のような単語も類推可能です。
devotee
まずは、接頭語の「de-」からです。
知っている単語で、de が先頭につき、かつ、de 自体に意味がありそうなものを考えて、
- destruction = 破壊(建築 structure の否定)
- decrease = 減少(増加 increase の否定)
などが連想できれば、しめたものです。
de- には「否定」する意味がありそうなので、これと「vote = 投票する」と組み合わせることができますね。
ただし、もう一つの可能性として、「devote」が一単語である可能性もあります。その場合は、「devote = 捧げる」という意味になります。
さて、「-ee」についても、de- のときと同様に、ee が最後につく単語を探してみましょう。
- employee = employ(雇用する) + -ee で「従業員」
- trainee = train(訓練する)+ -ee で「訓練生」
あたりが思い浮かべば、成功です。
-ee には「~人」の意味が含まれていそうですね。
つまり、devotee は「投票 + 人 + 否定 = 投票しない人」か、「捧げる + 人 = 支持する人」のどちらかの意味になりそうです。
単語だけでは、これ以上絞れませんが、続いての方法で文脈と合わせて考えれば、答えは出せます。
同様のことは日本語でもできるよ。むしろ日本語のほうが漢字があるからやりやすいと思う。
実際にこの思考方法で推理して解いた実例を、下記の記事でも紹介しているから、もし良かったら参考にしてみてね。
方法②:文脈から判断する
さて、先程 devotee に関しては、2つの可能性が考えられました。これを元に文中を読んでみると、どちらが答えかは一目瞭然です。
例えば、次の文で devotee が出たとしましょう。
If you're a Google devotee, then wait and see how it all pans out before purchasing a new smartphone.
all pans out は熟語で、なんか難しそうなので、それ以外で日本語で訳してみましょう。すると、
もしあなたが Google の devotee なら、新しいスマートフォンを買う前に待って、どう all pans out するかを見たほうが良い。
となります。これで、devotee が「投票する人」ではなく、「支持者」のほうが意味が適切だとわかりますね。
これが文脈から判断するということです。
僕たちは、同じ言葉でも状況によって、それが嫌味なのか、褒め言葉なのかを判断する事ができるよね。これがまさに文脈による力だよ。
文脈から判断する解き方は、こっちの記事でも触れているから、もし良かったら見てみてね
推測力は将来ずっと役に立つ能力
こういった類推/推測ができると、試験の時など調べる方法がないときに有効ですね。
しかし、今や何でもネットで情報が手に入れられる時代です。果たしてこの推測する能力は社会人になってからも必要なのでしょうか?
結論から言うと、とても必要な能力です。
なぜかというと、特に社会人になってからは「答えが探せば見つかる」ような課題は、それこそ調べれば分かるので、あなたの価値ではないからです。
情報が簡単に手に入る世の中になったからこそ、知識だけある人の価値は相対的に低くなっています。逆に推測力がある方が重宝されるのです。
特に、ビジネスでは正解が与えられてるケースの方が圧倒的に少ないです。
- 営業をしている目の前の人は、製品を買ってくれるのか
- TV CM を打つことで、どれぐらいの効果が出るのか
- この商品を開発すると、どれぐらいの人の役に立つのか
どれも答えはやってみるまで分かりません。だからこそ、現在の情報から類推し、確認して確かめる。そうして初めて将来を見渡す能力がついてくるのです。
正解が確かめられる問題で、かつ失敗が許されるからこそ、学生のうちにこの能力を鍛えておく方が良いでしょう。
だからといって、類推するだけでは勿論だめです。正解を確認しないと、推測の基盤となる情報が増えないからです。
先程の devotee の例でも、vote の意味だけ知っていても、正解を推測することはできませんでした。
1の知識より10の知識で多面的に推測する方が良いのは言うまでもないでしょう。
推測力を身につけるためのトレーニング
では、この能力を身につけるにはどうすればいいでしょうか?
そういった人には下記の方法でトレーニングしてみることをおすすめします。
- 分からない単語に出会ったら、それを書き留めておく(このときはまだ調べない)
- その単語を色々な文節や漢字で分解してみる
- 分解したものについて、思いつく限り連想できることや知っている情報を書き出す
- 書き出した情報を組み合わせて、意味する可能性のある訳を複数考え出す
- 続いて文脈を見て、考えついた訳の中で最も適切である訳を選ぶ
- 最後に実際の意味を調べて、自分の推測が合っているのかどうかを確かめる。間違っている場合は、なぜ間違ってしまったのかを理解する
ここで鍵になるのは、特に 3の工程です。
意外とこういう思考を発散することは、意識しないとできないので、最初は 2~3個ぐらいしか出てこないかもしれませんが、いずれ複数出てくるようになります。
時間はいくらかかってもいいので、ここでくじけずに最低でも 5個ぐらいは思い浮かべてから4に進むようにしましょう。
例えば、「古」という語なら、「いにしえの・ふるい・昔・古墳・古都・中古」とか。英語の「construction」なら、「con- struct -tion」で、「con」は 「connect、concentrate、contrat」で使われているな、とかだね。
まとめ:楽な道はないが、後で楽になる道を作ることはできる
いかがでしたでしょうか?類推する力は、残念ながらすぐに身につくものではありません。
たとえば、一つの問題やわからない単語を最低でも10分はうんうん唸りながら考えて、自分なりの結論を(間違っていてもいいので)導いて、その後正解を確認し、自分の推論の誤りを直していくことでしか身につきません。
けれど、一度身につければ、将来ずっと使い続けることができる能力なのですから、是非今のうちから身につけることをおすすめします。