手順の本質を学ぶ ~ガスバーナーの使い方~

理科

 理科の実験で使うガスバーナー。みなさんはこのガスバーナーで点火・消火する際の手順を覚えていますか?たとえ暗記していなかったとしても、手順の意味(本質)を知っていれば、正しく答えることができます。

 たった一つの実験器具の取り扱い方ですが、この本質を学んでいるかどうかで、将来に適用できる方法で学んでいるかが分かります。

 これは一体どういうことなのでしょうか?早速解説していきましょう。

ぺそ
ぺそ

ただのガスバーナーの使い方から、なんでそこまで言えるんだろう?是非一緒に記事をみて考えてみてね!

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ガスバーナーの使い方

 まずは、ガスバーナーの点火の仕方を考えましょう。

 ガスバーナーに火をつけるためには、ガスの元栓(コック)、空気調整ネジ、ガス調整ネジを正しい順番で操作することが必要になります。

 このとき、抑えるべきポイントは一つだけです。

 それは「火災による事故を絶対に避けたい」ということです。これを避けながら以下に安全に点火・消火する方法さえ考えれば、難しくありません。

ポイント①:大事故を避ける

 まず、空気調整ネジとガス調整ネジが閉まっているか確認しないといけませんね。もし両方の調整ネジが開いた状態で元栓を開けてしまうと、ガスが漏れて空気中に充満することになります。

 このとき怖いのが、ガスは目に見えないことです。したがって、どれだけガスが充満しているのか、目視では確認できません。

ちなみにガスは本来無臭だが、少しでも異変に気付けるように、わざと匂いが付与されている

 もしその状態で火を付けてしまったら、、、想定以上の炎が上がってしまうことがわかるでしょう。ですから、元栓を開けたとしてもガスが漏れないように、両方が閉まっていることを確認します。

 こういった仕組みは、他の機械でも見られます。

 例えば、みなさんが電動ノコギリを使いたいと思ったときに、コンセントに電源を差し込んだ途端に動き出したとしたらどうでしょうか?

 当然、非常に危険だと感じるでしょう。ですから、そういった器具の作動には必ず別に電源ボタンやスイッチがついています。

 このように私達が身の回りで使っている製品にも、事故を防ぐ工夫がいたるところに散りばめられているのです。

ぺそ
ぺそ

逆に僕たちが意識しなくてもいいように、機械にその機能が含まれているケースもあるね。例えば、携帯の充電のときには、オンオフにするスイッチはないけれど、過充電・過電流・ショート対策などがきちんとされているんだ。

ポイント②:リスクの少ないところから進める

 さて、元栓を開けたら、次はガス調整ネジと空気調整ネジのどちらを先に開けるか考えます。

 このときのポイントは、ガスと空気の割合です。

 今回はガスが燃料源になるわけですが、物が燃えるためには空気(酸素)が必要です。ガスが多ければ、それだけ炎は大きくなります。一方で、酸素が多ければ、それだけ物は良く燃えます。

 したがって空気調整ネジ→ガス調整ネジと開けてしまった場合、ガス調整ネジを開け火をつけた瞬間、ガスが大量の空気が混ざり合い、一気に燃えることになります。

 これは非常に危ないですよね。なので、必ずガス調整ネジを開けて、炎の大きさを調整してから、空気調整ネジを開けることが必要なのです。

 火を付けるタイミングも同じように考えましょう。

 両方の調整ネジが開いた状態だと、どれだけの火が出るのか予想が付きません。なので、ガス調整ネジをゆっくり開きながら火をつけるのがリスクが低いことがわかるでしょう。

 そのときに更に安全を確保するために、マッチを下から近づけることで、大きな炎が上がったとしても、手に当たらないようにするのも大事です。

 そして、最後に実験に十分な温度を確保するために、炎を調整するために空気調整ネジを使います。

ガスバーナーの点火・消火の仕方

 上記をまとめると、次のような手順になります。

[まとめ] ガスバーナーの点火の仕方
  • 安全確認
    空気調整ねじとガス調節ねじが閉まっていることを確認

    ガス栓を開けたときに、一気にガスが漏れるのを防ぐため

  • 燃料を追加
    元栓を開く

    (コックがあれば、この後コックも開く)

  • 最小で点火
    火(マッチ)をガスバーナーの口に下から近づけたまま、ガス調節ねじをゆるめて点火

    少ない量で温度が低い炎から始めたいので、まずはガス調整ネジ。万が一に備えて手は下から火を付ける

  • 炎の大きさ
    ガス調節ねじを回し、炎の大きさを調節

    温度は低いままで、炎の量を必要な分だけに調整する

  • 炎の温度
    空気調整ねじを回し、炎の温度(色)を調節

    最後に必要な温度を確保するために、空気を増やして温度を上げていく

 消すときも同様に考えれば、OKです。

 もし消すときにガス調整ネジ、あるいは元栓から締めたらどうなるでしょうか?そうすると、出てくるガスに対して割合的に多い空気が供給されることになります。こうなると、消す過程で炎の勢いや温度が強くなりすぎてしまうことが考えられます。

 したがって、まずは空気調整ネジから締めて、炎の温度を下げる。次にガス調整ネジを締めて、炎の大きさを小さくする。最後にガスの元栓を締めて、炎の燃料源を断つ、という手順を取るのが一番安全なのがわかります。

[まとめ] ガスバーナーの消火の仕方
  • 炎の温度
    空気調整ねじを閉じ、炎の温度(色)を下げる

    炎の温度を下げる

  • 炎の大きさ
    ガス調節ねじを閉じ、炎の大きさを小さくする(消す)

    炎を消すために燃焼源のガスを少しずつ遮断していく

  • 燃料を遮断
    元栓を閉じる

    最後に燃える元を完全に遮断する(コックがあれば、先にコックを閉めてから元栓を閉める)

ぺそ
ぺそ

ただ手順を覚えた点数目的の応用が効かない知識よりは、他のことにも適用できるように本質的な意味から学んだ知識の方が、ずっと効率がいいよ!

本質を大事に覚えると、応用が効くようになる

 このように手順の意味を考えることで、暗記ではなく本質に基づいた理解ができるようになります。

 そしてこの本質に基づいた理解というのが、いちばん大事なのです。なぜなら、その理解には応用が効くからです。

 例えば、今回は消火の原則を知りました。それは火を消すには、空気と燃焼物のどちらかを取り除けばいいということです。

 このことを知っていれば、台所のフライパンで火事が起きたとき、どうすればいいか分かります。

 火事なったときに、燃焼物そのものの油や食材を取り除くのは難しいでしょう。であれば、空気を取り除くことを考えればよいのです。

 もっとも簡単なのは、上から蓋をかぶせてしまうことです。それが難しいなら、水を含ませたバスタオルや新聞などをフライパンに覆いかぶせることでもOKです。そのまま温度が下がって、発火点を十分に下回るまで待ちましょう。

消火器も燃えない液体や気体を吹きかけることで、燃えているものを酸素から遮断して火を消している

 さらに、水に関する知識もあれば、間違っても水をかけようとはしないでしょう。

 水は高温になると水蒸気に変わりますが、そのとき爆発的に体積が増加します。なんと体積比率が1700倍にもなるんです。

 その結果、発火した油が発散して大惨事を招いてしまいます。

【まとめ】手順や段取りの意味を、自分で考える癖を持とう

 いかがでしたでしょうか?たった一つガスバーナーの手順でも、その本質的な意味を学んでいるかどうかで、今後の学習に差が出ることが分かったと思います。

 この考え方をすることで、それぞれの手順に対する意味を知ることになるので、忘れたりすることは減りますし、さらに他の事柄に応用もできるようになります。

 社会に出ても同じ考え方ができます。なぜマナーが大事なのか、なぜ議事録はこう取るのだろうか、お客様になぜこの点を説明しないといけないのか等々。

 ただの手順の暗記にせずに、ぜひその意味についても思いを及ばせてみてください。

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