こんにちは、ぺそです!今日は水上置換の凄さについて書きたいと思います。
みなさんも理科の実験で、実際に水上置換で気体を集めた経験をしたことがあると思います。そんな誰もが知っている水上置換からは一体何を学べるのでしょうか?早速見てみましょう!
3種類の気体の集め方のおさらい
まずはおさらいとして、水上置換を含めた3種類の気体の集め方について確認していきましょう。
水上置換
これは主に水に溶けにくい気体を集めるときに使われる方法ですね。容器に水を入れ、気体の発生口をその中に入れます。次に発生した気体をその中に入れることで、気体が水を押し出し、容器の中には発生した気体が集まります。
この後出てくる他の気体の集め方に比べて気体の純度が高い(空気と混ざらない)ので、実験室レベルでは好んで使われる方法です。
上方置換
これは水に溶けてしまう気体を集めるときに、水上置換が使えないので用いられる方法の一つです。気体の発生口を容器の奥の方に入れて、発生口から出る気体を容器に集めます。
気体にも重さがありますから、空気より軽い気体(アンモニア等)の場合は、容器の口は下に向けてきます。こうすることで気体を上に集めることができます。
下方置換
上方置換と同様に、水に溶けてしまう気体を集めるときに用いられる方法です。先程の上方置換は空気より軽い気体でしたが、こちらでは空気より重い気体(塩素等)を集めるのに使います。
基本的には上方置換と同様の方法で集めますが、集める気体が重い場合、上の図のように容器の口は上に向けて、集める気体が底にたまるようにするのです。
水上置換の凄さ
以上3種類の集め方を確認しました。さて、この中で水上置換はどこがすごいのでしょうか?
「水」を使う新たな発想で、気体研究を爆発的に加速させた
実はこれ、すごい発想なんです!・・・と言っても、なかなかそうは思わないですよね(笑)気体を集めるときに「この気体は水に溶けにくい。だから水を使って集める方法を使えばいい」という発想は当たり前だと感じますか?
もしかしたら、それは知識の弊害かもしれません。人はどうしても自分が知っているものは「当たり前」だと感じてしまいます。
さらに、水上置換が発見されるまでは、気体自体の研究が進んでいませんから、水に溶けやすい・溶けにくいなどの性質も、周知のものではありませんでした。
私たちは答えを知っている状態で、色々学んでしまうことがあります。
今回の件も、「水に溶けにくい」という答えを知っていれば、水の上で気体を集めようと考えられます。しかし、その性質自体の研究が進んでいない状況で、同様のことを考えつくのは至難の業と言えます。
こういう時は逆の質問をしてみると、新たな視点に辿り着くことができます。
そもそも気体を集める場合、上方置換と下方置換だけで事足りていると思いませんか?なぜなら空気以外の気体は全て空気より重いか軽いかです。したがって水上置換は必要ないとも言えます。
しかし、上方置換と下方置換だけでは効率が圧倒的に悪いです。特に気体に色がついていない場合など、本当に溜まっているかどうかも分かりませんし、ちょっとした風の影響も受けて、集めた気体が流されてしまいます。
そこで水上置換の登場です。水上置換を使えば、水に溶けにくい気体は溜まっている量がすぐに分かりますし、不純物も出ません。
水上置換が発明されたおかげで、その後気体に関する研究進み、化学者たちは次々と気体を発見し、その性質を解き明かしていくことになります。炭酸ガスや酸素も、水上置換という方法が生まれたおかげで発見されました。
電話でさえ、皆に受け入れられたわけではない
皆さんは、いま電話を当たり前に使っていることでしょう。どこにいても電波さえ通じれば、いつでもリアルタイムでコミュニケーションができる、非常に便利な道具です。
当然電話が誕生する前は、連絡手段は手紙や口頭に頼っているので、「電話があればすごい便利になる!」と誰もが感じたと思いますよね?
ところが、電話がイギリスに伝わったときに、どのような反応があったかご存知ですか?電話が実用化された当時、イギリス郵政省の主任技術者のウィリアム・プリースは次のように言ったとされています。
「アメリカには電話は必要だが、わが国には必要ない。メッセンジャーボーイがいくらでもいるから」
そうです。それだけ誰も疑問に思っていないことに対する解決策というのは、考えつくのも、受け入れられるのも難しいのです(その後、メッセンジャーボーイがいなくなったのは言うまでもありません)。
潜在ニーズに気づけると、大きな先行者利益が得られる
既にニーズが明確(顕在ニーズ)なものを解決するビジネスは比較的簡単で思いつきやすいです。しかし、一方それは他の人も思いつきやすいですし、真似もされやすいでしょう。これは今既にある市場の一部を取りに行くことに等しいです。
一方ユーザー自身がニーズに気付いていない(潜在ニーズ)ところに対してビジネスができると、その市場を独占できます。なぜなら、その市場はまだ存在していないからです。
勿論、ユーザーにニーズを気付かせるという大変さはありますが、それでも市場を作り出せるというのは最強です。新たに市場参加者が来ても、先行者利益*があります。
*先行者利益:誰よりも早く新しい市場に参入したり、自分自身で新しい市場を作り出したりすることで、利益を独占し市場における優位な立場を確立すること
例:フリクションペンの発明
例えば、フリクションペンもその良い例です。これは書いたインクが消える「消せるペン」として世界的に大ヒットしている商品になります。
その誕生秘話に、こんな一節があります。
フランスやドイツなどのヨーロッパの国々では、子どもでも学校でノートをとるのに、ボールペンや万年筆を使っていること。書き間違えると、いちいち「インク消し」で消さなければなりません。
DIAMOND online – フリクションが売れた理由を「インサイト」から分析する
インク消しを使うのが当たり前なので、誰も言わないけれども、「ボールペンの字を簡単に消す」というニーズが潜在的にあるのでは、と気付いたのです。
このように、潜在ニーズを捉えることは、大きな成功に繋がるのです。
例:YouTuber の誕生
YouTuber もそうだと思いませんか?
YouTube は動画配信サービスであり、誰もここに TV 的な娯楽が広がるとは思っていませんでした。また個人がここまで世間に影響を及ぼすことができるとも思っていなかったでしょう(最初期の YouTube はそもそも動画版出会い系サイトを目指していたと言うから驚きです)。
しかし、ゲーム実況から始まり、ヒカキンやはじめしゃちょーを代表する YouTuber が誕生し、一気に注目を集めました。
それでもこのときは、まだバラエティ志向がメインでしたが、今ではどうでしょう?投資専門動画や受験対策講座、歴史教育系など、明らかにさらにジャンルを拡大しています。
【まとめ】当たり前じゃないと思うことで、学びは加速する
かなり話が脱線したように見えますが、まとめると、水上置換という手法が凄いのは、あえて誰も意識していなかった点に気づいたことです。
より一般的に言うと、その新しい方法でしか満たされないニーズを生み出したからです。
皆さんも何かをアイデアを思いついたときに、「周りにニーズが無いから」とか「必要とされてなさそう」とか頭で考えて諦めるのではなく、是非小さく行動してみてほしいと思います。
もしかしたら、水上置換が酸素を発見するのに役に立ったように、みんなのアイデアも世界を変えるきっかけになるかもしれないよ!