みなさん、こんにちは!先日「問題文だけ読む」縛りで、令和3年度大学入学共通テストの国語を解いてみました。(検証結果は、下記をご覧ください)
今回は、上記検証をする際に使った解き方をご紹介したいと思います。
具体的には「書けない漢字があったときに、どうやって正解を推察するか」について紹介したいと思います。
大学入試試験のマークテストのような、選択肢から選ぶ手法でしか使えませんが、この考え方自体は色々なところで使えると思います。
テクニックとしてではなく、本質なところを捉えてもらえると嬉しいです!
分からない漢字があるときは、まずは文脈から意味を推測する
では、早速見てみましょう。漢字問題であっても、本文と問題文に分かれているので、それぞれ別個に見てみます。
もし、読む前に自分で解きたい方は、令和3年度大学入学共通テストの国語【問1の(ウ)】を見てみてください。
本文編:どう使われているか?
今回の漢字問題はこちらになります。
(ウ)エンヨウ
① 鉄道のエンセンに住む
② キュウエン活動を行う
③ 雨で試合がジュンエンする
④ エンジュクした技を披露する
このエンヨウという言葉を、自分は全く知りませんでした。
しかし、だからといってすぐに鉛筆を転がして運に頼ってはいけません。
まず、本文での使われ方を確認すると、
「本書では、フランスの哲学者ミシェル・フーコーの「アルケオロジー」の手法を"エンヨウ"することにしたい。」
のように使われていました。簡単な言葉に直すと、
「この本では、(なんか凄そうな)Aさんの〇〇という手法をエンヨウするね」
と言っているわけです。
このことからエンヨウというものは、恐らく「引用(自分の論を説明・証明するために、他の文章や事例を引くこと)」に近い意味だろうと推測できます。
問題編:単語の意味はなにか?
次に、選択肢の①〜④を見ます。
このときにそれぞれの漢字を書ければ問題ありませんが、今回は漢字は分からないという設定なので、それ以外の方法で解きましょう。
まずは、それぞれの選択肢の単語の意味を単純化させて、並べてみます。
① 鉄道のエンセンに住む
→ 「側(そば)」を表している
② キュウエン活動を行う
→ 「助け」を表している
③ 雨で試合がジュンエンする
→ 「延びる」を表している
④ エンジュクした技を披露する
→ 十分に「満ちている」を表している
こうすることで、たとえ漢字が書けなくても、その1文字の意味を理解すれば、どういうふうに使われそうかがイメージできます。
特に最近はパソコンやスマホが普及して、漢字を書く機会が少なくなったから、「意味もわかるし読めるんだけど、書けない・・・」みたいなケースが多いんじゃないかな?そういうときに、こういう方法は有効だよ
選択肢と組み合わせて、本文における意味の通りを見る
次に、それぞれの選択肢と引用を組みあわせて、本文中での座りの良さを確認してみます。
実際に、それぞれの選択肢ついて1つずつ考察してみましょう。
①「この本では、(なんか凄そうな)Aさんの〇〇という手法を側で使うね」
「手法を側で使う」というのは意味がわかりませんが、ここで思考を止めずに、一旦思考を広げてみましょう。
例えば、「横に引用として置く」という意味で、「補足として使う」という意味などがあるかもしれない・・・と考えられます。
ただ、その場合でも「手法を使う」という点ではあまり意味が通じませんし、これは違う可能性が高いでしょう。
②「この本では、(なんか凄そうな)Aさんの〇〇という手法を助けとして使うね」
これは、かなり意味が通りそうです。
問題そのものが小論文ですから、筆者は何かを主張するためにこの文を書いているはずです。
自身の主張に説得力をもたせたり、あるいは用いている手法の説明をするための「助けとして、別の人の手法を引用する」というのはありそうです。
よって、これは高い可能性で候補となるでしょう。
③「この本では、(なんか凄そうな)Aさんの〇〇という手法を延ばして使うね」
一見意味が通らなさそうですが、「延ばす」という言葉の意味から派生させて、「発展させる」と考えると意味が通るケースがありそうです。
特に、今回問題文で出ているAさんは、(詳細はわかりませんが)昔の偉人のようなイメージを受けます。つまり、過去の手法を今風に進化させたと考えると、あながち間違いとはいえなさそうです。
よって、これも候補に入ります。
④「この本では、(なんか凄そうな)Aさんの〇〇という手法を満たして使うね」
最後のこちらの選択肢ですが、これは意味が通らなさそうです。「条件を満たして」という意味も考えられますが、その場合は「満たして使う」ではなく、「満たします」で、意味的は十分に感じます。
そうすると、この問題文では「引用」の部分が薄れてしまうので、これもなさそうです。
一見こじつけしているだけにも見えるけど、その漢字一文字の意味から色々意味を派生させられるかどうか、どういったケースなら正しくなる可能性があるかを考えるのがポイントだよ!
もし本文を読めたら、さらに正解率は上がる
以上見てきたことを加味すると、②か③が恐らく正解だと思われます。
自分は③を選んで不正解でしたが、実際に答えは②でした。
自分がこれを解いたときは、検証のため他の問題文を一切読めなかったので、二択にしか絞れませんでしたが、もし読めていたら②と答えられていたと思います。
なぜなら「②と③。それぞれが正解の場合、使われるとしたらこういうケースだ」と想定できているからです。
答えが②なら本文中ではこの引用した手法の説明だけで終わるはずですが、③なら「どのように発展させているか」の説明が必要です。
実際に、検証後に本文を読んでみたところ、
「本書では、このアルケオロジーという方法を踏まえて、日本の妖怪観の変容について記述することにしたい」
と書かれており、それ以降は特にこの手法を発展させているような説明はありませんでした。
ここまで読み込めば、漢字が書けなくても②が高い確率で正解だということが分かります。
このように全部の漢字が書けなくても、分かる意味から類推するというのはかなり有効だと思います。
まとめ:運に頼る前に、自分の知識に頼ろう
いかがでしたでしょうか?分からない問題に出会った時、どうしても人は思考停止しがちです。
特に漢字問題のような「どうやって書くか分からなかったら、もう無理だ」と思いがちな問題であっても、このように思考をフルに働かせることで正解に近づくことができます。
とはいえ、そのためには普段からこういった思考をしていることが大事です。
素早く問題を解くことももちろん大事ですが、1つの問題を深く考えて、自分なりの正解の理由・間違った理由を答えられる力も大切です。
そういった力こそ、分からない問題に出会ったときにあなたを助けてくれることでしょう。
特に社会に出ると、正解がある問題を解くことのほうが少なくなるから、是非身に付けておいて欲しい力だね!
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