多くの人が気づいていない「地理」を学ぶ大きなメリットとは

教科

 こんにちは、ぺそです!今日は「地理」について話したいと思います。他の社会科目に比べると、あんまりメジャーなイメージは無いですよね(笑)自分もそうでした。

 しかし、2022年からは「地理総合」が必修科目になりました。ということは、この地理という科目から学べることが、今後の世界において非常に重要になると考えられているということです。

 そこで、今回は具体的に「地理を学ぶと、どんないいことがあるのか」について、解説したいと思います。

ぺそ
ぺそ

確かに、自分の実体験を振り返ってみても、かなり地理が役立つ場面が多かったと思う。だからこそ、ぜひみんなにも参考にしてもらえると嬉しいな!

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2022年から「地理総合」が高校生の必修科目に

 さて、今までは歴史や政治・経済などに比べると、印象は決して強くなかった地理ですが、2022年からは、高校生の必修科目になっています。

(ア)全ての生徒に履修させる各教科・科目(以下「必履修教科・科目」という。)は次のとおり(中略)
  イ 地理歴史のうち「地理総合」及び「歴史総合」

文部科学省 高等学校学習指導要領 p.25

 授業内容も今までの紙地図だけでなく、GIS(地理情報システム)を活用した地理的情報の調査、分析、考察する能力を身につけることが目的の一つにあげられています。

GIS(地理情報システム)

Geographic Information Systems の略で、「位置に関する情報を持ったデータ(空間データ)を総合的に管理・加工し、視覚的に表示し、高度な分析や迅速な判断を可能にする技術」(GISとは・・・ | 国土地理院)を指す。

 GISが少しわかりにくいと思いますが、Google MapもGISの1つです。なので、そこまで難しく考えなくても大丈夫です。

日常生活になくてはならないと言えるほどに成長した Google Map

地理が必修になったのは、「グローバル化を生きる能力」のため

 さて、本題に戻りましょう。

 なぜ地理が必修となったのでしょうか?

 それは、地理を必修にした人に聞くのが1番です。というわけで、文部科学省の資料に地理を学ぶ目標が書いてあるので、そこか要点をまとめてみました。

地理を学ぶ目的

広い視野に立ち、グローバル化する国際社会を主体的に生きるために必要な能力を次のとおり育成することを目指す。

  1. 世界の生活文化の多様性・防災・地域や地球的課題への取組みを理解しながら、地図や地理情報システムなどを用いて、地理に関する様々な情報を適切かつ効果的に調べまとめる技能を身に付ける
  2. 地理で学ぶ事柄を活用して、多面的・多角的に考察したり、地理的な課題の解決に向けて構想・説明・議論する力を養う
  3. 地理的事柄から発生する課題を主体的に解決しようとする姿勢を養い、日本人として国の国土への愛情と多様な生活文化を尊重する大切さについての自覚を深める

 上記を見ると、国際社会を主体的に生きるために必要な能力として地理が挙げられているのがわかります。

 私たちがどれだけグローバル化が進んだ社会に生きているかについては、みなさんも良くご存知だと思います。情報に国境がなく、生産物の多くが外国製になり、食べるものも海外産が増え、もはや1つの国だけで需給を賄うことは不可能な世の中に私たちは生きています。

 しかし、情報を提供する人も、製造する人も、生産する人も、みなそれぞれの土地で生活しています。だからこそ、1つの国で起きた事は、良いことも悪いことも他の国に波及して影響を及ぼしていきます。

 このことは、みなさんがもう身をもって経験していますよね。コロナの影響やウクライナ戦争による世界的インフレなどが、そのわかりやすい例です。

 したがって、今後はより一層地理を通して世界を知って物事を考えたり議論する能力が必要なのです。

 では、実際に地理を学んでいれば、どういうふうに世界の見え方が変わるのでしょうか? 

国産オリーブの成功に寄与した「地理」の力

 皆さんは日本でもオリーブが作られているのはご存知ですか?そうです、よくオリーブオイルとして目にする機会が多い、あのオリーブです。

 国内で有名なのが「小豆島オリーブオイル」で、岡山県と香川県の間に広がる内海に浮かぶ小豆島と、その西にある豊島の二島で作られています。

小豆島イメージ
小豆島旅ナビ HOME > 小豆島ってどんな島?(基本・地勢・気候)より

 元々オリーブは地中海地方が原産とされていて、乾燥にも比較的強いことから、スペインやイタリアなどの地中海地域で広く栽培されています。

 日本産のオリーブオイルは海外に負けず劣らずの高評価を得ています。

 海外でも高評価を得るようなレベルで国内でも栽培できるようになったのは、ずばり地理条件です。

 元々オリーブオイルは、香川県だけでなく、鹿児島県、三重県でも試験栽培されていましたが、その中で唯一、香川県だけが試験栽培に成功したのです。

 これは、穏やかな地中海性気候である小豆島の風土と、原産地の地中海の気候風土が非常に似ていたためです。

 勿論、地理条件さえ整っていれば良いわけではなく、土や水、害虫対策等、色々と試行錯誤と苦労が必要ですが、それでも土地が重要なのは言うまでもありません。

井上誠耕園の農園ブログ アルベキーナの収穫風景 21/10/20 より

 もし、地理を知らなかったら、オリーブ栽培が適した場所を探るには、しらみつぶしに様々な場所で莫大なトライ&エラーをしなければなりません。

 しかし、生産物と地理の関係がわかっているからこそ、日本でも適した場所で海外の食物を生産することができるのです。

ぺそ
ぺそ

他にも、トマトやピーマンといった日常的に食べるものから、日本産ワインやチーズまで。本当に多種多様なものが日本で作れているんだ。そしてそれは日本が日本全体で見ると多様な気候がある国だから、というのが分かるよね

顧客が日本に限られないなら、「地理」の視点は必須

 先ほどは農業についてみてみましたが、もちろん農業以外でも地理は効果を発揮します。

 例えば、皆さんがホテル業界に就職したとしたらどうでしょうか?

 みなさんがイメージしやすい職種だと、売店の売り子であったり、ホテルのフロント係、観光課の受付などをイメージする方が多いかもしれません。

 それは、皆さんが旅行したり、お土産を買ったりするときには、そういった自分と実際に接する人だけを目にするからですね。

 しかし、例えばホテルであれば「どこに建設するか」を考えてプランニングする人がいますし、お土産ならどの工場でどう加工して、どこに出荷するかなどの事業計画を立てる人が裏にいます。

 もし皆さんがキャリアを向上させたり、あるいは広い範囲で好きなことに関わりたい場合、目の前の顧客という狭い範囲ではなく、世界というより広い視野が必須になります。

最適なオープン場所を、地理情報を加味しながら計画する

 そういったときに地理を理解していないようでは、適切なプランニングは難しいでしょう。

 流通や便の良さを考えて場所を決めたり、高低差を考えた観光ガイドを設計したり、お土産の製造拠点を中国からインドに移したり等、地理情報が役に立つところは至るところにあるからです。

 最近ではゲーム業界でも、必要な知識と言えます。

 どの国から翻訳するべきか。このキャラはその国に受け入れられる見た目をしているか。開発エンジニアはどの国から雇うか。こういったことを考えなければなりません。

大ヒットしたモンハンも初期の頃は、グローバル化を意識していなかったため、「日本だけでしか売れないソフト」だった ©CAPCOM CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

 このように、グローバル化した世界と地理とは、切っても切れない関係にあるのです。

私生活でも役に立つ – マイホーム購入編 –

 ちょっと大きな例が続いたので、もう少し個人的なところをみてみましょう。皆さんの中でも、将来マイホームを購入したいと思っている人もいるでしょう。

 きれいな庭には大好きなペットがいて、自分だけの書斎なんか設けたりして・・・夢が広がりますよね。

こんな自分だけのスペースがあったら、最高ですね

 とはいえ、家は非常に高い買い物です。何千万円かかるのが普通ですから、悪徳な業者に悪質な土地を売られたり、防災的にリスクを知らずに買うことは避けたいはずです。

 そんなときに役に立つのが地理情報です。

 例えば、千葉県浦安市は古地図をみると、江戸時代前まではほとんど海の中だった事がわかります。つまり地盤が弱いんですね。

 実際に2011年3月11日の東日本大震災の際には、地盤沈下および液状化現象が広範囲で発生しました。 

東日本大震災 -浦安市の記録より引用

 特に中町、新町では、約3,700棟の建築物が 1/100以上の傾きにより半壊以上の認定を受けました。

 日本経済新聞の調べによると、半壊した住宅の修理費は平均約350万円かかると言われており、更にその中で最大100万円の支援金を受けられたのは約3割程度だということです。

 となると、多くの人は自腹で数百万円を新たに用意する必要があったということです。

 このように、一軒家を購入したい人は地形情報を読み取れたほうが圧倒的に良いでしょう。「地図」を読めることは、土地探しに欠かせないツールなのです。

 また、賃貸派であっても防災的に問題ない場所かどうかを確認することは、日本では特に大事だと思います。

実例:海外拠点立ち上げに役立った地理の能力

 最後は私が実際に経験した実例を紹介したと思います。

 私は事業責任者なので、海外の拠点や新規拠点の検討などに加わることもありますが、その国の文化や風土に加え、地理情報も重要視しています。

 これも先程の理由と同様で、拠点の安定性や収益性に、地理情報も密接に結びついているからです。いわゆるエリアマーケティングと呼ばれるものです。

全国均一の戦略ではなく、地域それぞれの特性に応じた戦略を展開するエリアマーケティングでは、地理の知識は必要不可欠

 実際にプロジェクトを進めていくに当たり、先ほどみた文部科学省が目的にしていた能力が非常に役立ちました。

 グローバルでどこに拠点を出すか考えるならば(1)の情報収集能力は欠かせません。

 また、事業計画に承認を得るために社内だけではなく、現地の協力も必須です。そのためには効果的に説明/議論できる(2)も必要です。

 さらには、その計画が自社のビジネスの一人勝ちを目指すようなものではなく、その国の文化を尊重し、よりよい社会につながっていることを意識して行動する(3)の要素も大切です。

 独りよがりのビジネス計画は、大抵上手く行かないか、大きな歪をその国に生み出すだけで、人々の幸せに繋がらないからです。

[まとめ] 地理を学んで、その能力を主体的にグローバル化社会で発揮させよう

 以上、色々な利点を見てきましたが、おそらくもっとあると思います。仕事以外でも、山登りの時や、旅行の際など、十分に利点を活かせると思います。

 大事なのは、なぜ地理を勉強するのかを、個人個人が納得して学ぶことです。そうすることで、学ぶ時間を将来の有意義な投資にすることができるでしょう。

 是非、皆さんもなぜ地理が自分にとって必要か、考えてみてくださいね!

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