実験嫌いの人は要注意。知識と体験を結びつけるメリット

理科室で椅子を机の上に上げている写真 理科

 みなさん、こんにちは!今日は理科で行う実験について、お話したいと思います。

 理科で行う実験は、すでに教科書に答えが記載されていて、わかっていることです。それなのに、なぜ改めて自分の手で実施する必要があるのかと思う人もいるかも知れません。

 そこで、今回は実験をする意味について考えてみたいと思います。

スポンサーリンク

「水は100℃以下でも空気中に出る」って本当?

 昔、小学校のときに水の蒸発について習いました。その時にはすでに水が沸騰して、水蒸気になることは知っていましたが、沸騰と蒸発という言葉との違いについては、知りませんでした。

 蒸発と沸騰については、次のように説明されています。

【蒸発】液体の表面から気化が起こる現象

Wikipedia

【沸騰】液体から気体相転移する気化が、液体の表面からだけでなく内部からも激しく起こる現象

Wikipedia

 この2つを比べると、蒸発は「液体の表面のみ」気体に変わるのに大して、沸騰は「液体の内部からも」気体に変わるという違いがあることがわかります。また、水の沸騰は大体100℃前後で起きることも皆さん知っているかもしれません

 この「蒸発」の説明をされたときに、当時の理科の先生が水たまりを例にして、説明してくれました。

理科の先生
理科の先生

「雨でできた水たまりが、次の日には自然に消えていることがあるだろう?しかし 100℃になって沸騰してしまったとは考えられないよね。これが蒸発という現象なんだ」

次の日には無くなっている水溜まり

 非常に分かりやすい説明でしたが、自分は「水たまりの温度を正確に測ったことはないので、そうとも言い切れないのでは」と先生に質問してしまいました(結果、先生に「見れば分かるだろ」と言われてしまいましたが(笑))

 今考えると、ちょっと嫌な生徒だったかもしれません。ただ、当時は困らせてやろうとか、重箱の隅を突くように揚げ足を取ろうとしたわけでは全くありませんでした。

 単純に「自分はその水が無くなる間の温度を測ったことがないので、確証が持てない」ということでした。

 そして、それを実験したいと思ったのです。まずは、本当に沸騰という現象は違う現象があることを確かめ、その現象に対して「蒸発」という新しい単語が当てはめられているのだ、ということを体験したかったのです。

数学との大きな違い

 正しい知識を得るための検証や証明などについては、数学でも身につける事ができます。ただし、実験と数学では大きな違いがあります

 それは自身が体感するかどうかです。

 例えば、体積を求めて、ある容器に 1L の水が入ることは計算できます。けれど、下記のようなことは、数学だけでは分かりません。

  • 1L の水を持ち上げると、どれくらい重く感じるのか
  • 1L あれば、部活中の水分補給には十分なのか

 数学とは違い、理科の実験には自身の具体的な行動が求められるのです。そして、その行動の仕方を知っていることは、非常に大きな体験になります。

実際に行動して経験して初めて、生きた知識が取り込まれる

実際に行動をして確かめることのメリット

 では、ここで自ら行動することが、どのように役に立つのか見てみましょう。例として「新規製品販売のためのプロジェクトを進める」時を考えてみます。

① 情報を集めて考察し、そこから行動することができる

 まずは、新規製品が市場に受け入れられるのかを考えなければなりませんね。これはいくら頭で考えていても答えは出ません。情報を然るべきところで集めるために行動する必要があります。

 誰に何を聞くのか、どこから情報を得るのか、得た情報をどう整理するか、情報から何を解釈するのか、どういう仮説を立てるのか。

 まさに理科の実験と同様に、求めたい答えをとにかく行動しながら確かめていくことが必要になるのです。

② 試行錯誤のやり方が身につく

 しかし、一回で調査が上手くいくことなど、殆どありません集めた情報がぜんぜん使えなかったり、期待した結果にならなかったりすることは日常茶飯事です。

 そういったときに、

・どうしてそういう結果が出たのか
・今回の調査の何が悪かったのか
・次は何を改善すればよいのか
・どういった視点で考えれば次はうまくいくのか
・期待する結果ではなかったが、ここから何が学べるのか

という振り返りをして、また次の行動に移る必要があります。

 こういったことができる人は、大人になっても驚くほど少ないです。多くの人は決まった答えを導く方法を暗記しているだけなので、一回結果が出なかったらそこで諦めたり、逆に無理やり持っていきたい方向に情報を捻じ曲げてしまうのです。

③ 言葉に説得力が出る

 プロダクトを売るために始めるプロジェクトというのは、必ずしも賛成多数で始まるものではありません。むしろ良いプロジェクトというのは、参加者の半分は反対、半分は賛成ぐらいの割合だったりします。

 これはなぜかと言うと、反対の人が多いということは、それだけそのニーズに気づいていない人が多いからです。

 これは大きなチャンスとも言えます。逆に全員が賛成するようなプロジェクトは、その場にいる全員にとって当たり前のことを提案しているだけで、目新しい製品にはならない可能性が高いのです。

 また反対意見をもらうことで、その製品がより精査されて世の中に提供されることにも繋がります。

 とはいえ、ずっと反対されているだけでは当然うまく行きません。当然、反対の人達を説得していく必要があります。

 では、そんなときに自ら行動して体験している人と、見聞きした情報だけで戦おうとしている人のどちらのほうが説得力があるでしょうか?

 当然「自ら行動している人」の方が説得力があります。また自分としても、より自身を持って伝えることができるはずです。

【まとめ】実験を通して将来役に立つ力を身につける

 いかがだったでしょうか?実験がいかに重要か、分かっていただけたと思います。

実験を通して身につく力
  • 情報の考察力とそこからの行動力
  • 試行錯誤の仕方が身につく
  • 言葉に説得力が出る

 理想としては、答えを確かめる実験ではなく、「答えを探す」実験が良いです。既に答えがある実験では、ただ確認するだけの作業になり、本質的な力にはならないからです。

 特に社会に出てから、ある一定以上のキャリアを描きたい場合は、その力は必要不可欠です。それは、決まったことをやれる人よりも、道を切り開いていく人のほうが貴重だからです。

 そういう意味で、夏休みの自由研究などは、本当はものすごく重要な勉強だと思っています。

 実際、企業側としても答えを導き出す方法を考えられる人が欲しいと思いますし、自分もそういった人と働きたいと思います。

 例えば、Google のプロダクトマネージャーの面接の時には、このような質問があったりします。

Q. 人は毎日どのくらいのデータ量を頭に入れたり、出したりしていますか?

glassdoor(US の転職サイト)の記載より引用

 さて、皆さんならどうやって答えますか?

タイトルとURLをコピーしました