こんにちは、ぺそです!今日は「読解力」にテーマを当ててお話しようと思います。
最近は、読解力として考えられている力が、自分が学んでいた時よりも深くなっていました。そして、この新しい方の読解力は、非常に有用で、社会人になってからも役立つこと間違いなしの能力になっています。
そこで、今回はそんな読解力がマーケティングにおいても大いに役に立つことを、みなさんもよく知っている「ホットケーキミックス」と「雪見だいふく」を例にして、説明したいと思います。
この記事を読んで、読解力の有用さを感じていただければ、嬉しいです。
読解力とは
いままでの「読解力」は『内容を正確に読み取る』こと
実は、いままで読解力というのは、「教材としての文章の内容を正確に読み取る」という意味で使われることが多かったんです。皆さんも上記の意味が、イメージしている「読解力」に近いかもしれません。
例えば、次のような問題に答える感じですね。

- 派遣子会社が親会社だけに人材を派遣すること
- 派遣子会社が親会社以外の会社と派遣契約を結ぶこと
- 派遣人材のプールを目的に大企業が派遣子会社を作ること
- リストラ人員の受け皿を目的に大企業が派遣子会社を作ること
(ちなみに、答えは1)
日本の読解力は下がっている
しかし、国際的な意味での「読解力」は、若干今までの日本の「読解力」とは異なる意味で、認識されているようです
近年の PISA(国際的な学習到達度調査)による調査を見ると、残念ながら日本は読解力が前回より下がっていました。
2019年12月4日に PISA2018の結果が発表されましたが、今回のPISAでは、全参加国・地域内での日本の読解力の順位が8位から15位に下がってしまったのです。(統計的に有意な差)

ちなみに、全体で見ると日本の正答率は 61%でしたが、それを読解プロセス別に見ると、
- 「情報を探し出す」:66%
- 「理解する」:63%
- 「評価し、熟考する」:53%
となっており、特に「評価し、熟考する」のところが低いことが分かります。
これからの「読解力」は『解釈、熟考、表現、意見』すること
元々、国際的に重要とされている「読解力」は「Reading Literacy」と呼ばれており、日本とは考え方が違うこともあります。そこで、日本も新たに「PISA型読解力」として、下記の特徴を掲げています。
- テキストに書かれた情報を理解するだけでなく、「解釈」し、「熟考」することを含む。
- テキストを単に読むだけでなく、テキストを利用したり、テキストに基づいて自分の意見を論じたりすることが求められている。
- テキストの内容だけでなく、構造・形式・表現法も評価の対象となる。
- テキストには、文学的な文章や説明的文章などの「連続型テキスト」だけでなく、図・グラフ・表などの「非連続型テキスト」を含んでいる。
社会に役に立つのは、こちらの読解力であるのは間違いありません。理由はシンプルで、以前の文章の内容を正確に読み取る読解力は、人が介在する必要がほとんどなく、価値が出ないからです。
今回、例に出した人材派遣に関する問題も、PISA型読解力を問う場合は、次のようになるでしょう。
Q. なぜ「特定派遣」という手段で、リストラ人員の受け皿問題を解決しようとする企業が多いのか?
Q. 法律で「特定派遣」は違反とされているが、なぜ違反とされていると思うか?
マーケティングとは
このPISA型読解力が大いに力を発揮するのが「マーケティング」の分野です。
皆さんがイメージされるマーケティングはTVCMや広告などをイメージするかもしれませんが、それはマーケティングのごく一部です。ここで日本マーケティング協会が定義した「マーケティング」について見てみましょう。
『マーケティングとは、企業および他の組織1)がグローバルな視野2)に立ち、顧客3)との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動4)である。』
日本マーケティング協会 1990年
1)教育・医療・行政などの機関、団体などを含む。
2)国内外の社会、文化、自然環境の重視。
3)一般消費者、取引先、関係する機関・個人、および地域住民を含む。
4)組織の内外に向けて統合・調整されたリサーチ・製品・価格・プロモーション・流通、および顧客・環境関係などに係わる諸活動をいう。
これこそ、理解するのに読解力がかなり必要な文章になっていますね(笑)ここでは脚注の 4番に着目しましょう。
「組織の内外に向けて統合・調整されたリサーチ・製品・価格・プロモーション・流通、および顧客・環境関係などに係わる諸活動をいう」
日本マーケティング協会 1990年
実は、マーケティングとは、世の中が求めているものを探り、新しい商品・サービスを企画したり、市場調査を行ったり、販売に向けた営業戦略を考えたりプロモーション手法を検討したりするなど、非常に多岐にわたっているのです。
私達の目には、企業のプロモーションの部分だけが目に入ってくるので、そこがマーケティングと思われがちですが、「どのように・どこに・何を売るか」全般を考えるのがマーケティングなんですね。
どんな商品・サービスであれ、それを買ってくる人がいて、初めてビジネスが成り立ちます。つまり、マーケティングは非常に重要なんです。
誰も必要としていない商品は勿論論外ですが、逆に「ニーズが有るのに、そのニーズを持つ人に商品・サービスを届けられない」ために失敗するビジネスも多々あります。
ホットケーキミックスの失敗と成功
皆さんはホットケーキミックスをご存知でしょうか?一度作ったことがある人も多いかもしれません。

実は、元々ホットケーキミックスは水を混ぜるだけで作れていたのは知っていますか?
ピルズベリー社は当時、アメリカ国内でパイやスコーン用のミックス粉の販売で不動の地位を築いていたものの、なぜかホットケーキミックスだけは全く売れず、同社のマーケティング担当者たちは、頭を悩ませていました。 当時のホットケーキミックスは水を加えるだけという手軽な商品だったのですが、あまりにも手軽なため、主婦たちはまるで自分が料理をサボっているかのような感覚に襲われ、自分が実際に作っていないものを家族の食卓に出す罪悪感から、ホットケーキミックスは主婦に敬遠されていたのです。(ビジネスのための缶バッジ活用術より引用)
本来は楽になる作業のはずなのに、それが理由で嫌われていたのだから驚きです。
これらは顧客調査をしないとわからないことです。ではマーケティング担当はどのような対策に出たでしょうか?
そこで、心理学者でマーケティングの専門家であるアーネスト・ディヒター氏が「ユーザーに卵と牛乳を入れる手間をかけさせてはどうか」と提案し、乾燥卵を取り除いたミックス粉を販売したところ飛ぶように売れたと言います。 この提案はまさに主婦の保有心理をついたものでした。卵と牛乳を入れる手間を加えることによって、女性たちがホットケーキを作る作業に関与する余白が生まれ、「自分が作った料理」として認められるようになったのです。(ビジネスのための缶バッジ活用術より引用)
これは、驚きですよね。わざわざ手間をかけさえることによって、主婦に料理をしているという価値を届けたのです。
このように届けたい層によって、マーケティングの仕方は異なるという点は、抑えておきたいポイントです。

もしこれがプロテインだったら、同じ方法を取らないほうがいいからね。運動後にすぐ飲みたいプロテインなのに、余計な手間が入ったら、逆にめんどくさくて売れなくなっちゃうよね
「誰にどうやって売るか」の場面で読解力が活躍する
このようにして、企業は適切なマーケティング戦略を行います。マーケティングとは、製品の価値をもっとも受ける人に製品を届けるための方法なのです。
したがって、マーケティングを行う際には、誰にどういったメッセージを届け、商品の価値をどう感じてもらうかが重要になります。
では、自社が提供しているサービスはだれにどうやって届けるのか、どこにニーズを感じてもらえるのか?
はい、ここが「読解力」の出番です。ただ観察するだけではだめですし、集まったデータを寄せ集めるだけでもだめです。想像するだけでも足りません。
この読解力が深く、適切であればあるほど、マーケティングという非常に社会に必要とされる能力を持っていると言えるでしょう。
実例:冬のアイスなんて、売れない?
では、実際の例で考えてみましょう。
今みなさんの前に、次のようにアイスクリームと月ごとの売上のグラフを与えられたとします。

上記を見たときに、気温とアイスの売上に相関がありそうだ、というのはいままでの読解力で分かるでしょう。
そうなったときに「8月に、海の家で売れるアイスを作ろう!」というのは誰でも思いつくことで、読解力が生きているケースではありません。
では、深い読解力を持っている人は、このグラフを見てどんなことを思うのでしょうか?

「冬にも温度が高いケースがある。例えばこたつに入っているときや、鍋をやっているときなどだ。
昔の日本だったらそんな贅沢はないが、最近はクーラーがない家庭の方が少ないだろう。そういったときであれば、夏ほどではないがアイスが売れる可能性は十分ある。
ただ、夏と違って喉が乾いているわけではないから、シャーベット系のアイスは辞めたほうが良さそうだ。」
これがまさに、今年発売 40周年を迎える「雪見だいふく」が取った戦略です。
ネーミングにも「雪」をつけて、“冬に食べるアイス”の金字塔となりました。新たな観点で物事を考えることで、誰も注目していなかった市場を切り開いたのです。

結果「冬に食べるアイス = 雪見だいふく」というイメージになり、現在でもかなりの先行優位性を獲得していると思われます。
【まとめ】解釈し、熟考し、自分の意見を持つ
いかがでしたでしょうか?読解力という言葉のイメージからは、正確に物事を捉える側面がクローズアップされがちです。
特に受験では、基本的に自分の意見を入れないで答えることが求められるので、個人的には若干の矛盾を感じる点ではあります。
しかし、自分なりの解釈と意見を持つことは、決して悪いことではないのです。まずは、相手の言いたいことを正確に理解する。そのあと、熟考した自分の意見を述べるという2つの段階が必要で、そのどちらも大切な力なのです。
ホットケーキミックスも雪見だいふくも、最初は周りに理解されないような意見だったかもしれません。
「わざわざ面倒を顧客にかけさせるなんて」
「売れない時期のアイスを作るなんて」
しかし、正しい解釈と意見であれば、結果はご覧のとおりです。
以上見てきたように、読解力は非常に強力な武器になります。皆さんも、是非読解力を磨いて、将来の自分のために、その能力を役立ててほしいなと思います。