「生きる上で四則演算さえできれば問題ない」は本当か?

数学

 皆さん、こんにちは!今日は「四則演算」についてのお話です。

 私は塾講師バイトをしているときに、学生からよくこんな質問を受けました。

学生
学生

「足し算・引き算・掛け算・割り算さえできれば、日常生活で困らなくて無い?」 

 確かに、微分積分や解の公式などは、あんまり日常的に使うとは思えません。従って「果たしてこんなに数学を学ぶ意味があるのだろうか」と考えるのは、ごく自然なことだと言えます。

 今回はこれが本当に事実なのかを、東大を出て、現在事業責任者を務めている立場から考えたいなと思います。

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最初に結論を言うと「あながち間違いではない」・・・だけど

 もう答えが出ましたね(笑)はい、あながち間違いではないです。

 そして、理由も皆さんの想像通りです。普段の日常生活で使うのは四則演算がほとんどだからです。

 例えば、コンビニでお菓子を買う、時刻表で後何分で電車が来るか調べる、スポーツで点数計算をする

 こういった事柄には、もはや掛け算やわり算ですら出番はなく、足し算、引き算だけで事足りるのがほとんどです。

ショッピングを楽しむのに、積分なんて使わない

 しかし、ここには一つ大きな落とし穴があります。それはなにか皆さんご存知ですか?

問題は「消費者目線でしか考えていない」こと

 それは、ずばり「消費者目線」でしか考えていないことです。

 今まで上げた例は、基本的に自分が消費者の立場です。当然学生のうちは多くは消費者として日常生活を過ごすのですから、それで問題ないでしょう。

 しかし、社会人になると自分でお金を稼ぐことになります。どうしてお金が稼げるのか?それは、他の人に価値を提供するからです。そしてその対価として金銭を受け取ることになります。

 つまり、いままでは他人が生み出した価値を受け取る側でしかなかったのが、社会に出ると他人に価値を生み出す側にもなるということです。

消費する立場から生産する立場へ

 他の人が欲しがる価値というのは、他の人に生み出せないものであればあるほど、貴重になります。その観点でいうと、四則演算はほとんどの人ができるため、そこの価値は非常に低いでしょう。

 一方、中学校高校でしっかり因数分解や確率等を学び、大学でさらに統計学を学んだりして、それを活かせるスキルを身に着けていれば、価値は飛躍的に上がります(勿論、需要があるところを選ぶ必要があるので、スキルがあるからと言ってシンプルに価値が上がるわけではありませんが)

 特に日本では、お金儲けが悪いみたいな風潮が根強いですが、それは本質的ではありません。

 自分たちが生み出している価値が大きいからそこに対価を支払う人が多く存在し、その結果多くのお金を得られるのが本質です。

 金銭的な面だけでなく、それだけ多くの人の願いを叶えているわけですから、これは非常にやりがいを感じる仕事になり、自分にとってもプラスになります。

自身の価値を高めるためには、四則演算だけでは不十分

 では、どうすればより価値を生み出せるのか。そのためには、四則演算だけでは不十分です。

ここでは例として、「受付」「営業」「経営企画」「新規事業/事業開発」4つの職種の年収の推移を比較してみましょう。

 実際に比較してみたグラフがこちらです。

転職会議 – 年収まとめより、21’11 月時点のデータをもとに作成

 非常に大きな差があることがわかりますね。平均年収でも比較すると、受付は全世代平均 286万円であるのに対し、新規事業・事業開発は 637万円になります。

 仮に20年間この平均年収で勤めたとして、受付は 5720万円、新規事業・事業開発は 1億2740万円にもなり、その差は2.27倍にもなります。

 なぜ給与が高くなるかと言うと、その職種で必要な価値を生み出せる人が少ないからです。

 これは四則演算だけに限りませんが、例えば受付だと、

受付の業務内容
  • 来客の応対
  • 訪問者の情報登録・管理
  • 代表電話の対応
  • 会議室予約

 などが仕事内容になりますが、どれもそこまで高度なスキルは要求されません。つまり、それだけ受付を務められる人が多いわけです

 一方、事業責任者はそうではありません。

事業責任者の業務内容
  • 自分の判断で投資場所と金額を決定
  • 社内外を問わない幅広い関係者(ステークホルダー)の説得
  • マーケティングの最適化
  • 市場を読んだプロダクト投下

 などなど、色々なことが求められます。そしてそういったことができる人が少ないからこその給与の高さなのです。

 実際にサブスクリプションモデルでの事業を検討する場合は、LTV の計測が重要になりますが、そのためには等比数列の知識が必要になります。

 こちらの計算については別記事で解説しているので、興味があれば、こちらもご覧ください。

[まとめ] 消費者でいるうちは四則演算だけでよいが、その生活でいいのかどうかは別問題

 というわけで、「生きる上で四則演算さえできれば問題ない」は本当かについて見てきました。確かに日常生活を送る上では問題ないですが、個人的には非常にもったいないと思います。

 将来の仕事の選択肢の深さを狭めてしまっているからです。

 ここまで、読んで「自分は数学得意じゃないからな・・・」と悲しく思った人もいるかも知れません。けれど、大丈夫です。

 なぜかと言うと、社会人でも、日常生活では四則演算は使っているのに、仕事になると上手く使えていない人もたくさんいるからです。

 つまり、四則演算だけであっても、しっかり仕事で使える人であれば、他との差別化に十分なります。

 これがどういう事かというのは、また別の機会でご紹介したいと思います!それではまた次回お会いしましょう。

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