正しい情報を得るためには、まずは元データを確認することから始めよう

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 こんにちは、ぺそです!皆さんは、本当に信頼できる情報を見て判断していますか?

 今の社会はインターネットが普及しているため、今までの時代とは比べられないほどの情報に接することが出来ます。何でも情報を得やすくなった一方、間違った情報や勘違い、果ては悪意を持ったデマなども多くあります。

 当然間違った情報で行動したい人はいないと思いますが、それにも関わらず、多くの人は間違った情報をそのまま信じてしまうことがあります。

 そこで、今回はちょっとした意識で間違った情報を掴まないようにするためのポイントを一つお伝えしたいと思います。

 皆さんも正しい情報に基づいて行動できるように、是非参考にしてみてください。

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「ビジネスマンは探し物に年間150時間使っている」は本当?

 まずは、実際の例を見てみましょう。これはオフィスワーカーが年間どれだけの時間を捜し物に費やしているかについてを説明した記事です。

 大塚商会のデータによると、こうした勤務中の探し物にかける時間は、なんと年間150時間にも相当するとのこと!これは、1日8時間の仕事を行う方の場合ですと、年間約19日分(=150時間/8時間)にも相当します。

DIAMOND ONLINE -「自宅オフィス」の作り方、効率よく仕事を進めるにはコツがある

 年間150時間。ビジネスパーソンは、この時間を何に使っていると思いますか?実は、勤務中に「探し物」をしている時間なのです(大塚商会調べ)。

 書類がない、ピンクの蛍光ペンがない、スティックのりがない、保存したはずのファイルがパソコンから見つけられない、電話を掛けようとしたら連絡票がない……生産性が全くない「探す」という行為に、多くの時間を費やしているのです。

リクナビ NEXT ジャーナル – “年間150時間”も、ビジネスパーソンは●●●に費やしていた…――残業をしないチームの仕事術
もしこれが事実なら、探しものだけで労働日の20日弱を費やしていることになる

 これを読むと、「社会人もすごい無駄に時間を使っているんだな」と思いますよね。自分も初めて目にしたときは、そう思いました。

 しかし、実際に調べてみると「嘘ではないと思うが、意味もない情報」だとわかりました。

元々「大塚商会調べ」ではなかった

 では、本当に年間150時間もビジネスマンは探しものに時間を費やしているのかを調べてみましょう。

 どちらも引用元を見ると、大塚商会調べとなっています。大塚商会はコンピューターやコピー機、各種ソフトウェアの販売を行っている会社で、確かにこういったデータが有れば、それらの商材を売るのにも、説得力あるデータとして使えそうですね。

 そこで、大塚商会関連の記事を読み漁ってみましたが、どこにもその情報がありません。

 なにか変だなと思ったら、同じように変だと感じた方が居たようで、その方は実際に大塚商会の広報に電話して聞いたそうです。

 次に大塚商会に問合わせてみた。すると大塚商会の広報では、「当社で調べたことはない。書籍『気がつくと机がぐちゃぐちゃになっているあなたへ』(草思社:リズ・ダベンボート著)から引用した」

五十嵐レポート – おかしいなと思ったら

 なんと、そもそも大塚商会が調査した内容では無かったようです!恐らく大塚商会がこのデータを用いて、どこかに記事を書いたり説明したので、それを見たり聞いたりした人が勘違いをして「大塚商会調べだ」となったのでしょう。

※ 大塚商会調べという記載があったとしても、きちんと調べれば、リズ・ダベンボートの著作にまでたどり着くことはできるわけですから、元データをしっかり確認せずに記事を書いてしまったことは明白だと思います

※ 個人のブログであれば、起こりそうなことですが、最初に紹介した記事は DIAMOND ONLINEリクナビ NEXTという大手メディアです。たとえ目にする機会が高いメディアであっても、出典元にきちんとデータを確認しない記事があるという事実もこれでわかりました。

現代日本には通用しない情報である可能性が高い

 ただ、この時点ではデータの真偽はわかりません。ここで調べることを止めず、実際に書籍の中ではどのように説明されているのか見てみましょう。

「こんな統計をご存知だろうか。平均的なビジネスマンには、1日に190の情報が入ってくる。そして探し物をするためだけに1年間に150時間も浪費しているといのだ。これにあと10時間を足すと160時間になり、平均的な1ヶ月の労働時間に等しい」

気がつくと机がぐちゃぐちゃになっているあなたへ」冒頭より引用

 というわけで、記載自体は見つけることが出来ました!

 しかし、自分が見つけられなかっただけかもしれませんが、この書籍でも元データの引用元は見つけられませんでした…(もし元データがわかる方は、是非コメント下さい!)

 勿論出典元がわからないからといって、このデータが嘘だとはいい切れません。ただ、日本の調査ではなさそうだということもわかりましたし、書籍の出版が2002年ですから、調査自体はそれよりも前にやられていたことは確かでしょう。

 そう考えると、仮にこの情報が事実だったとしても、やっとガラケーでインターネットに接続できるようになったぐらいの時代のビジネスマンの実態調査の結果が、今のビジネスマンでも同様だとは思えません。

やっと白黒ガラケーからネットに繋がるようになった時代。このときは仕事も書類仕事が多かったことは想像に難くない(激動の平成デジタルガジェット史 第4回:平成10~12年(1998~2000年)より引用)

 以上のような点も踏まえて、この情報が信じるに値するかどうかを考えるのが良いと思います。

※ 個人的にはここまでオフィスにパソコンが普及した中で、捜し物の時間は確実に減っていると思います(代わりに、データをパソコンから探す時間は増えているかもしれませんけどね)。

出典元を確認するスキルは、いつ身につけられるのか

 実際の例から情報の正しさを追ってみましたが、いかがでしたでしょうか?自分の選択や行動に影響を与えるのですから、きちんと事実を調べたり、実際のデータを探したりするのは、当たり前のように思えます。

 ところが、ほとんどの人はそれをしません。なぜでしょうか?

高校までは「情報がそもそも正しいのか」という視点がない

 もちろん、面倒くさいというのもあると思いますが、一番は「与えられた情報を読み解く」ことは教えられていても、「与えられた情報が事実かどうかを確かめる」ことを教えられていないからだと思います。

 つまり、そもそも与えられた情報の出どころはどこか?それは信頼できる情報源なのか、という精査をする意識が身についていないのです。

 例えば、社会科の授業で「以下のグラフから読み取りなさい」みたいな問題を与えられた経験があると思います。

「日本・ロシア・韓国の人口推移から読み取られることを記載しなさい」みたいな問題

 このとき、私達はこのグラフが正しいという前提の元で分析をしています。回答を考えるときに「いや、このグラフ間違ってるんじゃない?」なんて目で見ません。

 だからこそ、与えられた情報自体を精査する力が身についていないんですね。

※ 自分の今までの知識や経験と矛盾している場合は気づきやすいですが、それでも情報元を調べるまではあまりしませんよね

大学で卒論をしっかり書く人は、身についている

 では、社会に出る前にいつこの力は身につけられるでしょうか?勿論、授業以外でも身につけることが出来ますが、もっとも直接的なのは卒論です。

 これは自分で論文を書く作業になりますから、まず「与えられた情報」自体がありません。みずから情報を探す必要があります。

 さらには、その情報が正しいことを前提に論文を書くことになるので、出典元が正しいことを確認し、自分も情報に対する正確な理解をすることが求められます。

自ら情報を探し、その正確性を確かめる

 したがって、きちんとした論文を書いている人はこの力が身につきやすいと感じます。もし今後論文を書く機会があったら、是非そういった力も同時に身につけていっていることを忘れないでください。その力が自分にあることが分かれば、社会に出てもその力を応用することができるからです!

※ 当然ですが、卒業単位が全ての目的みたいな論文は除きます(笑)それは論文という形式を真似ているだけで、自分で考えていないからです。

※ どんな大学を出たかよりも、その人の論文を見せてもらったほうがよっぽど採用で役に立つと思うのにな・・・と個人的には思っています。

宿題:老後2000万円問題は正しいのか

 以上、情報をどうやって見分けるかの最初の一歩について見てみました。勿論データやグラフを正しく読み取る能力も大事ですが、そもそもの情報が正しいという前提がないと意味がありません。

 みなさんも、なにか情報を得たときは、まずは出典元を確認するクセを、ぜひ身に付けてください!

 実際にやってみようと思った方は「老後 2,000万円問題」について調べてみることをおすすめします(将来の自分が直面するかもしれない問題でもありますからね)。

 まずは Google で適当に検索してみると、何らかの解説ページにヒットすると思います。そのときにそこで終わるのではなく、どこがそれを言っているのかを確かめましょう。また出典元が分かったら、次はその原文を探してみましょう。

 きっと新たな知識を身につけられると思います!

 

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