#2 顧客が支払う「対価」はどう決まるのか?(高校生のためのビジネス基本解説) 

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 前回の記事では、ビジネスとはそもそも何かについて解説しました。おさらいをすると、ビジネスとは、誰かの役に立つことを、社会に提供すること」でした。

 そして、誰かの役に立ったことの対価として金銭/報酬を受け取ることになります。一般的には「価格」と呼ばれますね。

 では、この価格はどのようにして決まるのでしょうか?本記事では、その点について見ていきたいと思います。

ぺそ
ぺそ

ここでいう「価格」は、一つずつのサービスや製品でなくて、市場全体を捉えた場合の価格になるから、そこは誤解しないようにお願いします。

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大原則:価格は需要と供給で決まる

 多くの方はすでに知っているともいますが、基本的に価格は「需要」と「供給」によって決まります。

 しかし、需要と供給というのは、概念を理解するのは簡単であっても、実際のビジネスと照らし合わせるのは、非常に難しいのです。

 とはいえ、大原則としては需要と供給が大事なのは間違いないので、まずは需要と供給に対して、しっかり理解を深めてみましょう。

「需要」とは?

 需要というのは、シンプルに表すと、その製品がどれだけ求められているかを表しています。わかりやすい例としてキャベツを考えてみましょう。

 もし、キャベツ一個の価格が 10円だったとしましょう。恐らく多くの人が「安い!買おう!」と思うことでしょう。

 一方、これが 1,000円だったらいかがですか?欲しいと思っても、ちょっと手が出ませんよね(焼きそばにキャベツを入れることを諦めるかもしれません)

 ただ、中には「野菜自体嫌いだから、10円でも買わないよ」「キャベツは大好きだから 1,000円でも買うよ!」という人もいるでしょう。ただ、そういった人の数は多くないので、グラフに平均的な価格と需要個数との関係性を表すと、次のようになります。

 このように、価格と数量に応じた需要の関係を表す曲線を「需要曲線」と呼びます。

「供給」とは?

 続いては「供給」です。供給とは、逆に物やサービスをどれだけ提供したいかを表します。

 先ほどのキャベツの例で考えると、農家は当然高い値段であればあるほど多くの量を販売したいはずです。逆に安すぎる値段ではむしろ赤字になる可能性もあるので、それは望ましくないでしょう。

 価格ではなく、数量から見ることもできます。例えばキャベツ10個の販売だけで良ければ、家庭菜園でもできるので、手間暇もそこまでかからず、安く売っても儲けが出るでしょう。

 一方で、数十万の単位で出荷が必要になると、それだけの土地代や管理用の倉庫、農薬の費用など、よりお金が嵩むことがあります。

 つまり、供給側から見ると、価格が高いほど個数を多く & 価格が低いほど個数を少なくしたいわけです。

 こちらもグラフにしてみると、次のようになります。

 これが供給曲線と呼ばれるものです。

ぺそ
ぺそ

ここで説明している「需要」と「供給」は一般的な意味ではなく、経済学的な意味での意味になるので、そこは注意してね

需要曲線と供給曲線から、最適な市場価格が算出される

 さて、この需要と供給の関係性に注目すると、最適な市場価格が見えてくるのです。

 実際にこの2つの曲線を重ね合わせてみましょう。すると、ある点で2つの曲線が交わることがわかります。この交点の場所が「均衡価格」と呼ばれる点です。

 では、なぜここで価格のバランスが決定されるのでしょうか?

均衡価格より価格が高い場合

 まずは、均衡価格より少し右の場所(下図の緑丸の点)で価格設定がされた場合を考えてみましょう。

 この場所では、供給している販売個数が需要として求められている個数を上回っていることがわかります。この状態は物が余っている状態になっていますから、たくさん作ってもそれを買う人がいない(すでに欲しい人に欲しい物が届いている)ので、その分が無駄になります。

 そこで供給側は価格を安くし、結果的に均衡価格に近づく方向に販売量を調整することになり、いずれ均衡価格に到達するのです。

均衡価格より価格が低い場合

 逆も同様です。均衡価格よりも左の場所だと、今度は需要に対して供給が足りていません。なので、供給側としては、もう少し高い値段でもっと多くの商品を提供しても、問題なく販売できます。

 従って、またもや価格が均衡価格に近づく方向に動き、需要と供給が一致する均衡価格で安定するのです。

だけど・・・そうは簡単にいかないのが、ビジネス

 以上をまとめると、価格は次の原則によって決まることが分かります。

価格には需要供給が重要

需要その製品がどれだけ求められているか
供給その製品をどれだけ提供したいか

→ この二つがマッチするところで価格が決まる

 この考え方は、前回見たビジネスの基本の定義とも合致します。多くの人々が困っている事柄に対してより多くの価値を提供できれば、均衡価格は高くなるでしょうし、逆にあまり困っいる人がいないことに対して少ない価値しか提供できなければ、均衡価格は低くなるからです。

 しかし、実ビジネスの世界だと、需要と供給だけでは説明が難しいケースが多々あります。そして、まさにここからが「考える力」が試されるところになるのです。

 先ほどの需要供給によって価格が決まることは、皆さんも知っていたかもしれません。

 けれど、「なぜ Switch と PS5 は違う価格なのか」「大手航会社と格安航空会社の価格差はなぜ生まれているのか?」「Spotify は、なぜ無料で使えるのか」などについては説明できるでしょうか?

 次回の記事では、この点についてさらに深ぼるために、そもそもなぜ市場価格だけでは自社サービスの価格を設定することが難しいのかについて、みていきましょう。

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