「将来やりたいことが分からないから、志望校が決まらない…」「とりあえず、選択肢が広そうなところに行けばいいのかな…」。こういった悩みを、生徒からよく聞きます。
こう思うのは、当然のことです。目標が決まっていないのに「ルートは今決めろ」と言われたら誰しも迷ってしまいます。
しかし、それは知らず知らずのうちに「高くて良い目標を持たないといけない」と思わされているだけかもしれません。
そこで今回は二つのキャリアスタイルについて紹介します。もちろん目標をもつのは大事ですが、確固たる立派な目標がなくても、良いキャリアを歩むことはできるからです。
この記事を読んで、余計な負担やプレッシャーから解放されて、自分に素直に志望校を選べるようになってくれると、嬉しいな!
目標が明確な「登山型」キャリア
まず、代表的なキャリアの考え方について紹介しましょう。それが「登山型キャリア」です。
キャリアを山登りに例えると、このキャリアは登りたい山の頂上が明確で、そこへ到達することがゴールとなります。
そして、頂上に達するためには、脇目も振らずにゴールを目指し、ひたすら目標の達成を目指すタイプです。
キャリアと聞くと、多くの人がイメージするのがこちらのタイプでしょう。
しかし、自分がこのスタイルにあっていないのに、このスタイルを目指すと、「やりたいことが見つからない…自分はダメなんだ」という思いに囚われてしまうことにもなりかねません。
一般的にこっちがキャリアプランだと認識されているから、それができない自分にマイナスな感情を抱いてしまうんだね。だけど、本当に人生って登山型じゃないと成功しないのかな?
登山を楽しむ「トレッキング型」キャリア
そこで、もう一つのキャリアタイプの「トレッキング型」の紹介です。
こちらでは、唯一絶対の目標はありません。そうではなく、山にいるときに色々な場所に行ってみたり、その時々の風景を楽しんだりします。
つまり、色々な職場・職種などの環境の違いを経験することで、人生が進んでいくタイプです。
どうでしょうか?こちらの方が自分に合っていると感じる人の方が多いのではないでしょうか?
実際に自分は社会人になって、色々な人と関わってきました。営業職から開発職、日本人から外国人まで、本当に多種多様な人がいました。その経験から言うと、登山型キャリアの人は本当に数える人しかいませんでした。
それよりも圧倒的にトレッキング型の人の方が多いです。
このタイプは高い頂点を目指していないので、何かと誤解されがちです。しかし、何かを諦めて今の環境に甘んじている訳では、決してありません。
彼らは、今目の前の環境を楽しみ、仕事に取り組んでいるからです。
そして、楽しみが得られなくなると、また新天地へと転職したり、時には仕事を休んで、長期休暇を取ったりしています。
登山型もトレッキング型もどちらも山を楽しんでいるのは一緒で、楽しみ方が違うだけ。自分が登山型じゃないからといって、卑下したり自己否定する必要はないんだよ
それぞれのキャリアのメリット・デメリット
ここで、それぞれのキャリアのメリット・デメリットについて見てみましょう。
[登山型] | [トレッキング型] | |
---|---|---|
成功時 | 才能とパワーの集中ができる | 過去の経験がつながったり、想定外の可能性が開く |
失敗時 | 可能性が限定され、他の才能が無駄になる | 行き当たりばったりの漂流感が残る |
登山型の場合は、一つに目的に定まっているので、限りある時間とリソースを全集中することができます。
一方、一つの道に固執しがちで、自分の可能性や予想外の才能などに出会う可能性が低くなります。
他方トレッキング型の場合は、色々な経験をすることで可能性の扉が大きく開かれ、思いもしなかった形で過去の経験が生かされることがあります。
その代わり、その場その場を楽しめないと、ただ漂う人生になりがちで、徒労感と無力感を味わうかもしれません。
トレッキング型キャリアで、大切にしたいこと3選
もし、皆さんがトレッキング型キャリアを目指したいなら、次の3点に気をつける必要があります。
① 今を楽しむ
トレッキング型では、今を楽しめるかどうかが重要になってきます。志望校で考えるならば、まずは今少しでも興味が持てる教科の勉強から始めて、そこから大学選びをしてもいいでしょう。
もちろん、時には苦労することも大事です。ただし、将来の大きな理想に向けてひたすら耐えると言うのは、登山型のキャリアになります。
トレッキング型では、次の場所に向かうために歩くという苦労は大事ですが、そのたどり着いた場所では、存分に楽しむことが大切です。
「今いる場所で楽しめることはないか。楽しむために工夫できることはないか」
このように他責にするのではなく、自ら楽しむために考える姿勢が必要です。
② 積極的に新天地に挑む
しばらくすると、今の自分の居場所に満足してしまうことがあります。あるいは、たどり着いた先が、どんなに工夫しても、思ったほど楽しくならなかったということもあるでしょう。
そうなった時は、積極的に新しい場を目指し、新たな経験の世界に飛び出しましょう。
もし選んだ学校が微妙だなと感じたら、そこから転校したり、通信制に変更したり、はたまた起業してみたりと、実際にはたくさんの選択肢があります。
ただ、行動力と積極性がないと、今の場所で我慢してしまいます。それではトレッキング型の良さを活かせません。
トレッキングの良さは「たくさんの可能性と経験に出会うこと」です。そのメリットを活かすならば、行動することに躊躇してはいけません。
③ 過去の経験を無駄だと考えず、いつか役に立つと考える
こうした経験をしていくと、たくさんの経験を積むことになります。全てが今後の人生に役に立つ訳ではないでしょう。けれども、「今の経験は、いずれ何かの役にたつかもしれないな」と思って過ごすことが大切です。
大事なのは、一つ一つの経験を大事にすることです。
社会に出ても、転職する人はたくさんいます。その中でも転職回数がプラス評価される人と、マイナス評価される人がいますが、この差がまさに過去の経験を学んで生かそうとしているかに表れています。
綺麗事かもしれませんが、過去の経験を無駄にするか、それとも自分の一部にするかは、実際あなた次第です。
一つ一つの経験を大事にしないと、先ほど見たように「何も成し遂げず、漂流して終わってしまった…」と後悔する可能性が高くなってしまいます。
[まとめ] 結果的にできてしまうキャリアでも問題ない
まとめると、キャリア形成の方法は大きく2種類あります。
一つは、意図的に作っていく登山型キャリア、もう一つは結果的にできてしまうトレッキング型キャリアです。
繰り返しになりますが、この二つのキャリアに優劣はありません。大事なのは、自分にとってその山を楽しめる方法がどちらなのかということです。
もしトレッキング型のキャリアが自分に合っていそうなら、大きな夢や目標をもつ必要はありません。
「今の自分が学びたいことは何か?」
「今の自分が楽しいことは何か?」
そういったことを基準に志望する学校を選んでもいいのです。その経験を大事にできるならば、きっと将来も後悔しない選択ができるでしょう。
今回紹介したキャリアの考え方は『働き方の哲学 360度の視点で仕事を考える』という書籍から引用しているよ。
「そもそも働くってなんだろう?」「何を大切にしたらいいんだろう?」そんなキャリアに関する悩み疑問について、わかりやすく説明してくれている本なので、是非是非読んでみてね!